脳血管障害には先天的な病気で起こることもあります。その一つにもやもや病があります。ある歌手がこの病気になったり、テレビ番組で取り上げられたこともあり聞いたことがある方もおられるかと思いますが、奇妙な名前です。
脳は、左右の頸動脈と椎骨動脈と呼ばれる血管の計4本の動脈から血流を受けています。これらの血管は頭蓋骨のなかで分岐したり合流したりしていますが、もやもや病では頸動脈の終末部分が徐々に細くなりついには閉塞してしまいます。急に閉塞してしまうとすぐに脳梗塞を起こしてしまいますが、ゆっくりと細くなるためバイパスの役目をはたす細い血管が発達してきます。この細い血管が血管撮影上たばこの煙のように「もやもや」して見えるためこの病名がつけられました。病気の原因は不明ですが、ほとんどが日本人で他の国ではきわめて稀です。バイパスができるとはいえ血流量が十分ではないため虚血による脳梗塞を生じたり、バイパスの細い血管は脆いため出血を起こしたりします。また痙攣発作で発症することもあります。
小児期に発症することと成人になってから発症することがありますが、特に小児の場合、繰り返す頭痛を訴えたり、ハーモニカをふいたり、熱いラーメン等を冷まそうと息を吹きかけているときに意識消失することがあります。
治療方法は確立していませんが手術的に頭皮の動脈を脳の血管につなぐこともあります。

もやもや病
もやもや病のMRA画像

このページは以下に掲載された記事より抜粋して再掲したものです。
平成18年11月4日発行ふれあい第24号脳神経外科講座より