脳動静脈奇形とは?
本症は稀な疾患であり、人口10万人あたり年間1~2人の発見率です。約80%は50歳未満で、その内の約20%を20歳未満が占めています。本症は青少年で脳出血を起こす病気として知られています。男女比は2:1で男性に多くみられます。
血液は正常血管では、動脈から毛細血管、そして静脈へと流れます。ところが、本症では、毛細血管を介さず動脈血が直接静脈へ流れ込むため、静脈は著しく拡張します。そのため、動静脈奇形は脳血管撮影ではあたかも大小無数の蛇が絡み合った塊のように見えます。
脳出血による発症が約60%、痙攣が約20%、麻痺や視野障害などの神経症状で発症するものが約20%です。出血発作のピークは15~20歳にあります。
診断
脳出血はCTスキャン、動静脈奇形はMRI(図1)、CT血管撮影(図2)、さらに脳血管撮影などによって診断されます。
治療
大きな脳内血腫を伴う場合には、救命のために緊急手術が必要なことがあります。動静脈奇形からの再出血を防止するためには、可能ならば手術による奇形摘出を行います。摘出が危険を伴う場合には、ガンマナイフなどの放射線治療が行われていますが、いかなる治療法も困難なため自然経過を観察せざるを得ない場合もあります。
このページは以下に掲載された記事より抜粋して再掲したものです。
平成16年8月1日発行ふれあい第15号脳神経外科講座より