ジストニアとは、「大脳基底核の機能異常により、筋緊張調節のバランスが失われさまざまな肢位・姿勢の異常や反復性の不随意運動を生じる症候群」と定義されています。定義を聞いてもなかなかイメージできない方も多いかと思います。簡単に言いますと自分が意図しない動きを勝手にしてしまう病気の一つです。ジストニアという病気は、医師の中でも認知度が低く、診断されるまでに時間がかかることも少なくありません。ジストニアは、さまざまなタイプのものがあり、症状は多種多様で、あらゆる体の部分に生じます。主なジストニアには次のものがあります。
2018年にジストニア診療ガイドラインが出版されました。それによると、ジストニアの治療には薬物治療、手術治療、リハビリテーションなどがあります。ジストニアに対する薬物治療として、内服やボツリヌス毒素による治療があります。薬物治療でも治療が困難な場合、手術治療が行なわれます。手術治療としては、脳深部刺激療法、視床凝固術、バクロフェン髄注療法がガイドラインに記載されています。手足のジストニアに対しては視床凝固術が行われ、完治に至ることもあります。体の中心部に近いジストニアに対しては、通常、淡蒼球内節の脳深部刺激療法が行われます。これは、体内に刺激装置を埋め込む治療法になります。最近では機械を入れない手術治療法として、淡蒼球視床路の凝固術を行っております。これは、東京女子医科大学により開発された世界最先端の治療法になります。当院オリジナルの治療法として、ハンガー反射誘発装置による治療を行っております。ハンガー反射は、ハンガーを頭にかぶると頭が回るという現象です。主に痙性斜頸(頸部ジストニア)の患者さんに対して治療を行います。これにより症状が改善し、完治に至ることもあります。
当院では、ジストニアに対してこれらの治療法を行っております。ジストニアを治療できる病院は全国でも限られており、ジストニア友の会のホームページにジストニア病院情報として全国で98施設(2022年8月現在)が掲載されています。石川県では当院と金沢医科大学病院が記載されています。当院は、手術治療を含めた治療を行っている施設であり、世界最先端の治療を目指しております。治療について詳しくお知りになりたい方は、金沢脳神経外科病院 機能外科外来をご予約ください。すでに他の病院に通院されている方は可能であれば紹介状を持参のうえ、受診ください。